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そして学ばれた方の中で実際に、何人もの方が昨年も多くの学校などで、ネット・ゲーム・スマホ依存防止の講演や人間関係のセミナーの講師をされたり、また心理カウンセラーを開業されたりしています。発達障碍などで悩んでする人達のお役に立つ為、また子育てや自己啓発、自身の生き方について更なる成長の為に受講を継続しておられる方も多くおられます。
そこで、このページではその講座の内容を、簡単ですがご紹介したいと思います。
11月2日のカウンセラー養成集中講座は、午前の部はカウンセリングに来られる方の心理分析、つまり『過去』を分析するのに役立つ交流分析を、そして午後の部はその悩みをどうしたらよいのか、つまり『未来』を考える可能性療法についてお話しました。
もっともこの可能性療法というのはオハンロンが名付けたもので、早い話が家族療法の解決志向アプローチなのですが、その具体的なやり方と、もう一つ別のシステムズ・アプローチによる解決例は、学校の先生や子育ての専門家にも大変好評でした。
ということで、午前は久しぶりに交流分析についてお話したのですが、「交流分析と言えばエゴグラム」みたいな感じで自我状態を
・CP(Critical Parent):批判的な親
・NP(Nurturing Parent):母性的な親
・A(Adult):理性的な大人
・FC(Free Child):自由な子ども
・AC(Adapted Child) :従順な子ども
と5分類し、次は「やりとり分析」とかに進んでいく本が多いのではないかと思います
。
そして「【CP】や【AC】を下げて【NP】や【A】や【FC】を上げましょうね」とか書いてあることも多いのですが、今回はもう少し掘り下げて考えてみました。
下図の自我状態は、【P】と【C】が普通よく書かれているものとは違いますよね。
【P】は、親の枠組みをインストールして造られます。
その際、「親の厳しさ」を取り込んで【CP】ができ、親のやさしさを取り込んで【NP】ができる、と覚えることが多いのですが、【P】には親の【P】【A】【C】全部が取り込まれるというのが、この図です。
取り込まれた内訳ですが、【P3】にはルール、【A3】にはそのルールの理由、【C3】にはその暗黙の意味、と「TA TODAY」(イアン・スチュアート ヴァン・ジョインズ著)には書かれています。
例えば電車に乗っていて子どもが騒いだ場合、「静かにしろ」というのはルールを伝えているということであり、「なぜなら人が迷惑するからだ」というのがその理由、そして「騒ぐと私(親)が恥ずかしいじゃないか」というのが案もまの意味となるわけです。
そしてこれは【C】の中に「親のイメージ」として存在し(【P1】)、生まれた時に発生している本当の『子ども』(【C1】)がそれに反応するというワケです(このあたりを
踏まえて、『禁止令』や『ドライバー』とかを考えていくとなかなか面白いんですよね)。
じゃあその間にある【A1】って何か?
子どもは理論的に合理的に反応する知恵はまだできていませんが、勘がいい子は上手に対応しますよね。相手の懐に飛び込むとか…。
このような子どもの知恵がそれです。ちなみに小教授(【LP】)と呼んでいます。
さて、問題はそのようにして取り込んだ【P】が、素晴らしく完成されたものならよいのですが、親も人間なのでそうとは限らないんですよね。
しかも、そのルールというのは家訓のようなものですから、親には合っていたかもしれませんが、子どもにそのルールが適正かというとそうとも限りません。
例えば親がエンタメ芸人だった場合の家のルールと、検察官だった場合の家のルールでは、内容は全然違ってきます。
況や代々続く家訓に苦しみながら従ってきた親だったとしたら、そもそもその家訓は合理的なものなのかどうか、疑ってみた方がいい場合だってあります。
さて、【CP】というのは結構「悪者扱い」される場合が多いのですが、実は『切断機能』として重要なんですね。
切断機能というのは、人が決断や選択をする場合、無くてはならないものです。
なのに最近の家庭では、この機能が働いていない為に、不登校や依存といった問題が生じることも多いのです。
ということで、【CP】の重要さや【RC(反抗する子ども)】の重要さについても、明治維新の志士たちの例を挙げながらお話しました。
そして次はチャイルドについてです。
人間(別に人間だけではなく動物もですが)の欲求というのは「『快』を得たい」というのと「『不快』から逃げたい」というのがあります。
下図のような感じですかね。
ところが最近の研究では、脳の中では賞反応系と罰反応系は一緒ではなく、別のポジションが担当しているということがわかってきました。
ということは、賞反応系が優勢なタイプと罰反応系が優勢なタイプは、脳の構造や機能として考えてみても有りえる話なんですね。
精神科医の頼藤和寛先生はこれに基づき4つのタイプを考えられました(引用元「性格をつかむ」頼藤和寛著)。
それが下図です。
さて、今回のカウンセラー講座では、これを交流分析の自我状態で考えてみました。
これでずいぶんわかりやすくなります。
つまり賞反応系を【FC】、罰反応系を【AC】と考えると、図の
動じないタイプは【FC】も【AC】も低い人。
葛藤タイプは【FC】も【AC】も高い人。
罰回避タイプは【FC】が低く【AC】が高い人。
賞追及タイプは【FC】が高く【AC】が低い人。
というふうになりますよね。
さあ、ここからが問題です。
ここで受講生の皆さんには「応用行動分析」を思い出してもらいました。
(大事なのは、いろいろな理論を単にバラバラに覚えるのではなく、自在に組み合わせ、繋げて使うことです)
下図は応用行動分析の大原則です。
後続刺激としての「賞」は行動を強化(増加)し、「罰」は行動を弱化(減少)させます。
では例えば賞追及タイプに効果のある後続刺激はなんでしょう?
罰は気にせず、賞には強く反応するから、賞を与えるやり方の方が効果的ですよね。
逆に罰反応系タイプは賞にはそんなに引き付けられず、罰には強く反応するから罰を与える方が効果的となります。
さて、親が子どもに言うことを聞かせよう(制御しよう)とする時、こういうことを無意識のうちに学習していたとしたら…?
【AC】優勢タイプの子は罰でコントロールされやすいという構造が出来上がってしまうんですね。
これがアダルトチルドレンの問題とも言えるんです。
じゃあ、そうされちゃった人はどうしたらいいのか。
そうです。それが一番大事です。
それは、午後の部でお話した「解決志向アプローチ」と「認知行動療法」の組み合わせで上手くいくんです。
ということで、この内容は第2日曜、第3日曜、そして第3土曜にも行います。
よろしければぜひご参加ください。
では…。
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カウンセラー養成集中講座は第1と第3土曜(どちらか選択)です。
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ベーシック集中講座は毎月第2日曜と第3日曜(どちらか選択)に開かれます。心理学は初めての方でもご参加いただけます。
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WEB講座は第2土曜の午前中です。WEBでのリモート講座はこちらです。↓
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他にも毎週講座は月曜の午後に開いております。
詳しくはホームページをご覧ください。
10月12日のWEBカウンセラー養成講座は、依存症についてお話しました。
まず依存症になりやすいタイプとしては、下記の項目が当てはまる人となります。
・視野が狭い
・こだわり傾向
・偏ったプライド(無意識の自己愛)
・ストレスの処理がヘタ
・回避傾向(問題に対して逃げる、先送りする)
・見捨てられ不安が強い
・人間関係が苦手
また、依存症になる人は回避性パーソナリティタイプが多いですが、その特徴は下記となります。
・批判、非難への過剰反応や怖れ
・劣っている点は、必死に隠す
・人間関係に深入りできず表面的な付き合いしかできない(親密性回避)
・干渉されたくない
・自己開示できない(本音を言えない)
・失敗や恥を恐れてチャレンジできない
・高い自己イメージへの空想と、無意識に潜む低い自己評価 ・コンプレックスと、その反動のプライド(いいカッコしぃ)
ところで回避性性格の場合、或る意味当然なのですが、現実社会の困難な場面や嫌なことに向き合えず、バーチャル(仮想)の世界へと行きやすいんですね。
従って、ネット依存やゲーム依存になるリスクは高いということになります。
またこれは不登校の問題と類似していて
・何か問題が起きた時に、すぐにリアルの世界からネットやバーチャルの世界に逃げ込んでしまう癖が付いてしまう。
↓
・どんどんと現実社会に対しての耐性が落ちていって、益々現実対応ができなくなってしまうという悪循環に陥ってしまう。
となりがちです。
さて、これは文科省の調査で明らかになったことですが、中高生のネット依存になりそうな子どもは2012年に52万人だったのが、2019年には160万人と激増しています。
2019年の中学生は321万8115人、高校生は300万8172人ですので約4人に1人がネット依存症の予備軍ということですね。
しかも2019年あたりから、小中学校では生徒にタブレットを配給し始めていますので、現在はおそらくもっと増えていると考えられます。
そして長時間のゲームは、前頭前野等に悪影響を与えるという説が今では定着していますので、いろいろな深刻な問題もこれから激増していくことが予想されます。
では、どうしたらよいか。
ここでよく言われているのは「親と共有の管理アプリを入れて管理しよう」ということなのですが、これは、言い方を変えると子どもがスマホで何をやっているかが筒抜けになるということなので、その為には親子間のコミュニケーションが良好である必要があるんですね。
しかし、実は親子間のコミュニケーションが良好である家庭では、子どもが依存症になる確率というのはかなり低いんです。
つまり、依存症を心配しなければならないケースの場合、共有アプリを入れるのはそもそも無理があるのです。
さて、キンバリー・ヤング博士によると、「認知行動療法の12セッション目までには殆どの患者が自分の症状をコントロールすることができた」となっていますが、その頃よりはゲームも一人でやるものからSNSを使ったもっと離脱しにくいものに変化していますから、カウンセリングももう少し複雑となります。
もう少し詳しく言うと、認知療法に応用行動分析を加え、そしてシステムズ・アプローチ(特に解決志向アプローチ)を組み合わせたやり方が、我々のカウンセリングではかなり効果を上げることがわかっています。
今回のWEB講座では、そのやり方について手短にですが具体的にお話しました。
10月5日のカウンセラー養成集中講座は、認知療法についてお話しました。
さて、この講座では認知療法なら認知療法だけ、行動分析なら行動分析だけ、みたいなレクチャーではなく、いろいろな理論を組み合わせてわかりやすく解説することにしています。
そこでここではその中の一例を挙げてみますね。
認知療法のやり方を書いた本には、どれも「自動思考にチェックを入れる」と有ります。
そして、その自動思考の底にはスキーマ(認知の枠組み)があると書かれてあると思います。
それをもう少し詳しく図にあらわすと下記(図1)のようになります(これは2年くらい前にもブログに書いた気がしますが)。
スキーマはしっかり根っこを張っているコア・ビリーフがあり、そこから派生した媒介信念というのが自動思考との中間にあるのですが、それをもう少し詳しく書くと下記(図2)となります。
こう書くと、うわっ、なんのこっちゃ… となりがちなので、これを交流分析の自我状態で表してみましようか。
まず、幼少期に親から厳しく叱咤されたり、ディスカウントを受けた子がいたとしましょう。
するとその場合、「自分は無力だから見捨てられたらもう終わりだ」という基底信念(コア・ビリーフ)が埋め込まれます。(図3)
そしてそのインストールされたコア・ビリーフは、「言うことを聞かないと見捨てられるだろう」という先入見的見解となり、「人の言うことに黙って従うべきである」というルール(先入見的ルール)へと繋がっていき、「人の言うことに黙って従う」という現実的行動となっていくわけです。(図4)
そしてその「人の言うことに黙って従う」という現実的行動は良い子として褒められ、強化されて習慣となってしまいます。(図5)
ということで、認知療法と交流分析を組み合わせたわけですが、このようにいろいろな理論を布のように経糸、横糸と組み合わせつなげながら理解していくと、いろいろな理論は足し算ではなく掛け算で理解が広がっていくんですね。
9月7日のカウンセラー養成集中講座は、まず午前の部ではライフサイクル(エリクソン)についてお話しました。
乳児期 信頼 vs. 不信
幼児前期 自立性 vs 恥、疑惑
幼児後期 自主性 vs 罪悪感
学童期 勤勉性 vs 劣等感
青年期 同一性 vs 同一性拡散
成人前期 親密性 vs 孤立
成人期 生殖性 vs 停滞性
老年期 統合性 vs 絶望
(〇〇 vs ●● というのは、うまくいけば〇〇、うまくいかなかった場合が●●ということです)
まず最初の乳児期(0歳~1歳半か2歳くらい)においては、≪基本的信頼vs不信≫という構図をエリクソンは考えました。
乳児は不快なことがあったり、不安になったりすると泣きますが、その時に母親の愛情を感じられれば不安や不快は【安心】に変わります。
これをウィニコットは「二人いるから一人になれる」と言っています。
母親という『港』が有ればこそ、子どもという『船』は外洋へ航海に行けるわけですね。
そして、そうやって愛情を感じるごとに、【人(母)を信頼できる力】とともに『自分を愛してくれる人がいる』という【自分の存在を肯定できる力】が育っていきます。
これが基本的信頼感(basic trust)と呼ばれているものですね。
つまり「人を信じることができる力」です。
ところが、幼児期に親からかまってもらえなかったり(ネグレクト)、厳しい罰ばかり受けていると、基底不安というものが心に巣くっていきます。
「ひどい目に合わせる世の中に、誰の助けも得られない無力で見捨てられた自分がいる」という思いですね。
そして、それから逃がれる為に
・退行(幼児化して愛される)
・過剰適応(従順)
・無力(同情を得る)
・勝つ・優れる・強くなる
・ひきこもる
などを試みたりします。
アダルト・チルドレンのカウンセリングでは、このあたりの話になることも少なくありません。
幼児期を過ぎ学童期(小学生)に進むと、親子という『縦の関係』から学校での『横(友達など)の関係』に移行していき、10歳くらいからはギャング・エイジと呼ばれる『群れて行動する』時期に入っていきます。
ここは社会的コミュニケーションの力を身に着けることができる、とても大事な時期ですね(でも今の子どもは、この時期に塾やゲームなどで、この能力が身につかないまま大きくなってしまうリスクが高くなったりしていますが)。
そして青年期は、アイデンテイティ確立の時期となります。 アイデンティティ(自我同一性)とは、自分の存在の証明であり、今迄の人生において、こなしてきた課題や危機、また経験などによって創られます。 また逆に、自らを見失ってしまうケース(役割混乱)もあります。
この時期に関しては、「モラトリアム」「ピーターパン・シンドローム」「青い鳥症候群」「ウェンディ・シンドローム」などについても、お話をさせていただきました。
なお午後の部では、家族療法の構造的アプローチについてレクチャーとワークをしました。
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自分の気持ちや、言いたいことを言えないと悩んでおられる方は結構多いのですが、世間でよくあるのが「なぜ、言えないのだろうか」という原因探しや因果関係の究明に進んでしまうパターンです。
そしてアダルト・チルドレンだからとか、親子関係の話になると、これはもう、かなり長くかかるカウンセリングとなってしまいます。
そういう場合、考えなければいけないのは、確かに親の問題でとても辛い思い出がいっぱいあるにしても、「例えばここで親を100回非難すれば、自分は自己表現が上手くできるようになるか」ということなんですね。
例を挙げて考えてみましょう。
ここに、自分には非が無いにも拘わらず、何か言われると何も言えずすぐ謝ってしまうというAさんという人がいたとします。
この場合、「Aさんが子どもの頃、親が子ども(Aさん)の話も聞かず、そしてとにかく子どもが謝らないと怒りが収まらなくって、Aさんはいつもただ謝るしかなかった」という環境があったかもしれません(この場合、お母さんは実は『良い・悪い』ではなく、Aさんを『謝らせたくて怒っていた』ということになります)。
もちろんこれは、とても気の毒な話ですし、Aさんが親を恨むのも無理はありません。
ただ、これを行動分析で考えるとこうなります。
------------
Aさんが今、自己表現ができない(ノン・アサーティブ)という問題は、【自分に非があるかどうかに拘わらず、とにかく『何も言わず謝る』という行動を取らないと先に進まない】ということを『学習』してしまい、それが『習慣』となってしまったということである。
------------
だとすると、まずこの【自分に非があるかどうかに拘わらず、とにかく『何も言わず謝る』という行動を取らないと先に進まないのだ】というのは、合理的な考え方だろうか?(認知の歪みではないか?)というツッコミが要ります(ここは認知療法ですね)。
そして、
カウンセラー「当時は確かにそうせざるを得なかったのだろうけど、今から未来においては『何も言わずに謝る』という行動より、『上手に自己表現できる』ようになった方がいいよね」
↓
Aさん「もちろん、そうなりたいです」
という流れで【目標】が設定され、あとはスモールステップでアサーションを実践していくということですね(ここはカウンセラーは応用行動分析の立場となります)。
午後の部もアサーション・トレーニングの考え方ややり方について、『自分に気付く』というワークも交えながらレクチャーし、いろいろと考えていただきました。
なお、発達障碍やグレーゾーンの子ども(大人もですが)の場合、やはり上手に自己表現できず、アグレッシブ(攻撃的)・タイプとなっている場合があります。
そういうケースでは、一般に行われているアサーション・トレーニングだけでは上手くいかない場合も多いので、僕がカウンセリングにおいての経験で、いろいろと工夫して上手くいったやり方もお話しました。
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7月6日のカウンセラー養成集中講座は、午前中は応用行動分析についてのレクチャーやワーク、そして午後も「見立て」に役立つツールを使ってのワークと、システムズ・アプローチについてお話しました。
応用行動分析(ABA)は子育てにとって凄く大事な理論です。
また、発達障碍の対応がどんどん進化しているのも、この理論あってこそです。
そしてネット・スマホ・ゲーム依存もこのABAと、システムズ・アプローチや解決志向アプローチとの組み合わせによって、カウンセリングが上手くいく率はかなり高くなります(親御さんがこの考え方ややり方に納得されて、そしてカウンセリングに来られるのを続けた場合はほぼ上手くいくと言ってもいいでしょう)。
しかし、意外とこれがまだまだ世に知られていないんですよね。
これはひょっとしたら、難しい用語が多い(三項随伴性とかオペラント条件付けとか)のと、もう一つはおもしろく書いてある本が少ないからかもしれません。
ということで、先日僕は掛川の花鳥園に行って、鳥のショーを見た時に思ったことがあったので、その説明も少し工夫してお話しました。
まず、イルカとか動物のショーというのは、このABAによって動物が活躍できるようにしています。
ABAというのは、
先行刺激(弁別刺激)⇒ 行動 ⇒ 後続刺激
という流れで物事を考えます。
これを簡単に言うと、
「ある環境で」⇒「こんなことをしたら」⇒「こんな結果があった」
ということです。
例えばイルカにとって
「笛が鳴ったという環境で」⇒「ジャンプをしたら」⇒「餌をもらえた」
となるわけですね。
掛川花鳥園でも鳥をそうやって訓練したはずです。
ところが僕が言った時は、ショーに出てきたフクロウが、芸をやる場面でなんと床に落ちていた肉片を見つけちゃったんですね。
飼育員の用意した餌よりもっと大きな肉片を…。
こうなると、もうフクロウは飼育員の指示に耳を貸しません。
飼育員は何度も餌を見せてチャレンジするけど、フクロウは逃げ回るばかり。
ショーを見に来た客は、ずっと待たされるワケですね。
フクロウを主とすると
「飼育員の用意している餌よりもっと美味しそうなものを見つけた」⇒「それを掴んで飼育員から逃げ回る」⇒「飼育員に何度も用意した餌を見せられる」
この場合は、「飼育員の用意した餌」という後続刺激より「今掴んでいる肉片」の方が魅力的なので、後続刺激は何の役にも立っていないということです。
「こんなことになる可能性って当然あるワケだから、そんな時はとりあえず次の鳥の出番に変更できるようにしておいたらどうなんだ?」
とイラッとして思ったのは僕だけかな?
とにかく散々待たされた挙句、そのフクロウの持ち時間は使い切ったみたいで、何もやらずにステージからフクロウは退出でした。
さてちょっとここで、行動分析に対してよくある反論です。
「動物と人間を一緒にするなよ」
では今の話を、フクロウではなく客を主として考えてみましょうか。
「ショーが始まりワクワクする」⇒「フクロウが飼育員の指示に従わず逃げ回るのを延々と見せられ、それでフクロウの持ち時間が終わり待たされただけでイライラする」⇒「もうここのショーには見にいかなくなる」
次に、飼育員を主として考えましょうか。
「ショーが始まる」⇒「フクロウが指示に従わず逃げ回り失敗し、客をイライラさせる」⇒「客はもうここのショーには見に来なくなる」
この「客は来なくなる」というのを弱化刺激と言います(簡単に言うと「叱られる」とか「罰」がそうですね)。
そして本来なら、それによって「客をイライラさせる」という行動が減るはずなんです。
反省して、次の鳥の出番に変更できるようにするとか、工夫する(行動の変容)はずなんですね。
ところがここでABAの理論が出てきます。
「即時強化・即時弱化」の法則です。
つまり、後続刺激はすぐに行わないと、効き目がなくなるんです。
「もう次は行かない」という客の後続刺激は、時間が空いてしまうし、具体的に飼育員に伝わりにくいから効果があまりないんですね。
じゃあ、すぐに罰を与えたらどうか。
例えば、待たされたらすぐに空き缶を投げるとかいう嫌悪刺激を、後続刺激で与えたとしたら、これは飼育員も気づくはずです。
ところが、今度は客を主として考えましょうか。
「待たされる」という環境で、「空き缶を投げる」という行動を取ると、大抵は「周囲から大顰蹙(ひんしゅく)」という後続刺激がやってきます。ひょっとしたら警察が飛んでくるという、かなり強烈な嫌悪刺激が来るかもしれません。 我々はそういうのを学習しているから、それをやらないんですね。
如何ですか?
もちろん動物と人間では違うケースだっていくらでもあると思いますが、人間だって生き物なので当てはまるケースもいくらでもあります。
要はいろいろな理論を上手く生かして、対象となる人がHAPPYに近づいていけばいいのではないのでしょうか。
少しは面白く説明できたかな?
ところで、ABAの本は1つの対象においての三項随伴性のことばかり書いてある本が多いのですが、やはりシステムズ・アプローチが重視する「Interaction」、つまり「相互交流」という観点でこのように主役を固定せず、柔軟に多角的に考えるということが大事だと思います。
ということでこんな感じで、しっかりと(たぶんここに書いた量の50倍くらい)を午前中にお話しました。
この内容は第2日曜と第3日曜、そして第3土曜にも行います。
よろしければぜひご参加ください。
【Copyright(c)(同)ベルコスモ・カウンセリング】
6月1日のカウンセラー養成集中講座は、午前中は久しぶりに交流分析についてのレクチャーをし、その後に交流分析を使ったカウンセリングのデモ(ロールプレイング)を見て、皆さんでいろいろと話し合っていただきました。
やはり実際にロールプレイを見てみると、交流分析と傾聴だけでクライアントの満足を得るのはかなり難しいということがよくわかります。
なぜそうなったか(過去)ということはよく理解できるのですが、どうすればよいのか(未来)というところが具体的ではなく弱いんですね。
しっかりと聴いていればよくなるというのは、ロジャーズや河合隼雄先生がカウンセリングをされた時の話で、我々一般的な人間では軽いレベルの悩みならともかく、わざわざお金を払って相談に来られるレベルの悩みにおいては、「うん、うん」と頷いていればよくなるとは考えにくいのが現実です。
そして午後もキャリアカウンセリングのデモ版を見て、皆さんに考えていただきました。
こちらは傾聴もあまり出来ていない動画の為、全然参考にはならなかったのですが、逆に傾聴のカウンセリングをするにあたって陥りやすいパターンがよく理解できたのではないかと思います。
「オウム返し」というのがどの本にも書いてありますが、何のために傾聴するかというと、相手の心情だけではなくフレーム(認知の枠組み)もしっかりと理解する為なんですよね。
だから、その目的意識を持って全力で理解しようと聴かなければいけないし、また「無知の構え(Not kowing)」で聴かなければ歪んで理解してしまうリスクが生じます。
それなのに、頭の中で「オウム返し」をしなければという意識が大きく占めていたら、もうこれは本末転倒です。
また相手を理解する為には、かなりの質問が必要ですし、どういうふうに質問すればいいかを知っていなけれぎいけません(これらのやり方が優れているのが、先月に行った解決志向アプローチです)。
なお、これら2つのロールプレイに出てきた悩みに対して、僕ならどのようにカウンセリングをしていくかも、もちろん図を用いながら詳しく説明しました。
この内容は第2日曜と第3日曜、そして第3土曜にも行います。
よろしければぜひご参加ください。
【Copyright(c)(同)ベルコスモ・カウンセリング】
問題が起きた時、よく人は「どうしてそうなったのか」、「その原因は何だろうか」と考えることが多いんですね。
例えば子どもが不登校になった時、「育て方がいけなかったのか」とか、「幼児期にアタッチメントが少なかったのではないか」と考えるのがその典型的な例です。
このことについては3月の講義でも詳しくお話したのですが、例えば料理が上手くできないと悩んでいる人に、「親子関係が良くなかったから、お母さんから料理を教えてもらえなかった為ではないか」とか、「一人っ子だから甘やかされて育ったのが原因ではないか」と原因探しをして、思い当たる節があったら問題は解決するのでしょうか。
実際それが原因だったとしても、お母さんに「なんで甘やかして育てたの!」と責めたら、料理が上手になるのでしょうか。
違いますよね。原因がわかったからといって、問題が解決するとは限りません。
また、自分は料理が上手くできないダメな人間だと、自分を嫌いになることで美味しい料理を作れるようになるのでしょうか。
これも違いますよね。「人」を問題にしたら、却って解決は遠のくことが多いのです。
「問題」は「料理が上手にできないこと」であって、今考えなければいけないのは、「どうなったらよいのか」なのです。
だとすると、カウンセラーは「解決した状態」をクライアントがイメージできるように流れを作り、目標設定のお手伝いをして、クライアントのHAPPY(ここは、間違っても「カウンセラーが考えるところのクライアントのHAPPY」を押し付けてはいけません)に向かう為の方法(スキル)を身に着けていなければいけません。
このやり方は、過去の原因追及をする精神分析的カウンセリングや交流分析を用いたカウンセリングや傾聴中心の来談者(人間)中心療法をメインに学ばれた人は結構驚かれたりしますが、なかなか良いものですよ、システムズ・アプローチ及び解決志向アプローチは…。
またちょくちょくこのやり方はご紹介していきたいと思います。
よろしければぜひご参加ください。
世間では、このアダルト・チルドレンと愛着障害は結構ゴチャマゼになって語られているような気がします。
また、愛着障害やパーソナリティ障害、特に自己愛パーソナリティ(人格)障害と発達障碍も取り違えて見られたり決めつけられたりしていることも少なくありません。
ちなみに愛着障害については、下記の項目にどれだけ当てはまるかである程度の目安はつくと考えられます。もちろんその程度がどれくらいかが重要なのですが。
愛着障害簡易テスト
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かなり当てはまる 3点 まあまあ当てはまる 2点
あまり当てはまらない 1点 当てはまらない 0点
1.自信が無い
2.見捨てられ不安が強い
3.自分は自分、人は人と割り切るのが苦手
4.察してくれることを切望する
5.低い自己評価
6.情緒不安定
7.感情のコントロールが上手くいかない
8.人にどう思われるかがとても気になる
9.ゆとりがない時が多い
10.子どもっぽいところがある
11.親しい人に過度な要求をしたり、要求がエスカレートしたりする
12.親しい人に対しては切れやすい
13.批判、否認、または拒絶に対する不安が大きい
14.好かれていると確認できないと、人との関係に深入りしない
15.人から褒められても素直に喜べない
なお、愛着に問題(虐待、ネグレクト)があると発達にかなりの悪影響があり、愛着障害(6カ月~1歳半頃が悪影響のピーク)は、脳の報酬系回路と言われる脳の線条体の働きを悪くすることがいろいろな研究でわかっており、福井大学子どものこころの発達研究センター 友田 明美教授は下記の結果を研究発表されています。
・暴言を受け続けると聴覚野の一部の容積が増加し、知能や理解力の発達にも悪影響が生じる。
・厳格な体罰(頬への平手打ちやベルト,杖などで尻をたたくなどの行為)を長期かつ継続的に受けた人たちの脳では,前頭前野の一部である右前頭前野内側部(感情や思考をコントロールし,犯罪抑制力に関わっている所)の容積が平均19.1%も小さくなっていた。
・集中力・意思決定・共感などに関わる右前帯状回も16.9%の容積減少がみられた。
物事を認知する働きをもつ左前頭前野背外側部も14.5%減少していた。
ところでアダルト・チルドレンのカウンセリングでは傾聴や共感はもちろん大事ですが、それだけに頼ると過去をぐるぐると循環するパターンとなってしまうことも少なくありません。
やはり先月のレクチャーでお話したシステムズ・アプローチや認知療法を組み込んでいった方が、早く明るい方向に切り替えて段々とクライアントはHAPPYに進んでいくと、今までのカウンセリングを振り返ると強く感じています。
3月2日のカウンセラー養成集中講座は、不登校やネット・スマホ・ゲーム依存、またアダルト・チルドレンにとても効果のあるシステムズ・アプローチについてワークを交えながら詳しくお話しました。
このやり方の重要な注意点は「原因追及(問題探し)に囚われない」ことと、「過去に縛られない」ことです。
下図1をご覧ください。
夫婦の不仲についてのカウンセリングの例です。
妻がカウンセリングに来て
「夫が毎日お酒を飲んでばかりいるから、腹が立ってついつい攻撃的になってしまう」
と訴えたとします。
ところが、次回夫婦で来ていただき、夫に話を伺うと、
「妻がヒステリックだから、こっちもイライラして、ついお酒を飲んじゃう」
と言うのです。
つまり、この問題はお互い「相手のやることが原因」だと言っているわけですね。
でも図を見ればわかるように、実はこの話は【原因⇒結果】というよりも、【循環】しちゃっているんですよね。
次の図です。
ゲームばかりしている子どもに親が怒ります。
すると子どもは親の顔を見るのが嫌で、部屋にこもってゲームをします。
それを見て親は、厳しさが足りなかったと思い、もっときつく怒ります。
3つ目。
2024年11月のWEBカウンセラー養成講座の内容
11月2日のカウンセラー養成集中講座は、午前の部はカウンセリングに来られる方の心理分析、つまり『過去』を分析するのに役立つ交流分析を、そして午後の部はその悩みをどうしたらよいのか、つまり『未来』を考える可能性療法についてお話しました。
もっともこの可能性療法というのはオハンロンが名付けたもので、早い話が家族療法の解決志向アプローチなのですが、その具体的なやり方と、もう一つ別のシステムズ・アプローチによる解決例は、学校の先生や子育ての専門家にも大変好評でした。
ということで、午前は久しぶりに交流分析についてお話したのですが、「交流分析と言えばエゴグラム」みたいな感じで自我状態を
・CP(Critical Parent):批判的な親
・NP(Nurturing Parent):母性的な親
・A(Adult):理性的な大人
・FC(Free Child):自由な子ども
・AC(Adapted Child) :従順な子ども
と5分類し、次は「やりとり分析」とかに進んでいく本が多いのではないかと思います
。
そして「【CP】や【AC】を下げて【NP】や【A】や【FC】を上げましょうね」とか書いてあることも多いのですが、今回はもう少し掘り下げて考えてみました。
下図の自我状態は、【P】と【C】が普通よく書かれているものとは違いますよね。
【P】は、親の枠組みをインストールして造られます。
その際、「親の厳しさ」を取り込んで【CP】ができ、親のやさしさを取り込んで【NP】ができる、と覚えることが多いのですが、【P】には親の【P】【A】【C】全部が取り込まれるというのが、この図です。
取り込まれた内訳ですが、【P3】にはルール、【A3】にはそのルールの理由、【C3】にはその暗黙の意味、と「TA TODAY」(イアン・スチュアート ヴァン・ジョインズ著)には書かれています。
例えば電車に乗っていて子どもが騒いだ場合、「静かにしろ」というのはルールを伝えているということであり、「なぜなら人が迷惑するからだ」というのがその理由、そして「騒ぐと私(親)が恥ずかしいじゃないか」というのが案もまの意味となるわけです。
そしてこれは【C】の中に「親のイメージ」として存在し(【P1】)、生まれた時に発生している本当の『子ども』(【C1】)がそれに反応するというワケです(このあたりを
踏まえて、『禁止令』や『ドライバー』とかを考えていくとなかなか面白いんですよね)。
じゃあその間にある【A1】って何か?
子どもは理論的に合理的に反応する知恵はまだできていませんが、勘がいい子は上手に対応しますよね。相手の懐に飛び込むとか…。
このような子どもの知恵がそれです。ちなみに小教授(【LP】)と呼んでいます。
さて、問題はそのようにして取り込んだ【P】が、素晴らしく完成されたものならよいのですが、親も人間なのでそうとは限らないんですよね。
しかも、そのルールというのは家訓のようなものですから、親には合っていたかもしれませんが、子どもにそのルールが適正かというとそうとも限りません。
例えば親がエンタメ芸人だった場合の家のルールと、検察官だった場合の家のルールでは、内容は全然違ってきます。
況や代々続く家訓に苦しみながら従ってきた親だったとしたら、そもそもその家訓は合理的なものなのかどうか、疑ってみた方がいい場合だってあります。
さて、【CP】というのは結構「悪者扱い」される場合が多いのですが、実は『切断機能』として重要なんですね。
切断機能というのは、人が決断や選択をする場合、無くてはならないものです。
なのに最近の家庭では、この機能が働いていない為に、不登校や依存といった問題が生じることも多いのです。
ということで、【CP】の重要さや【RC(反抗する子ども)】の重要さについても、明治維新の志士たちの例を挙げながらお話しました。
そして次はチャイルドについてです。
人間(別に人間だけではなく動物もですが)の欲求というのは「『快』を得たい」というのと「『不快』から逃げたい」というのがあります。
下図のような感じですかね。
ところが最近の研究では、脳の中では賞反応系と罰反応系は一緒ではなく、別のポジションが担当しているということがわかってきました。
ということは、賞反応系が優勢なタイプと罰反応系が優勢なタイプは、脳の構造や機能として考えてみても有りえる話なんですね。
精神科医の頼藤和寛先生はこれに基づき4つのタイプを考えられました(引用元「性格をつかむ」頼藤和寛著)。
それが下図です。
さて、今回のカウンセラー講座では、これを交流分析の自我状態で考えてみました。
これでずいぶんわかりやすくなります。
つまり賞反応系を【FC】、罰反応系を【AC】と考えると、図の
動じないタイプは【FC】も【AC】も低い人。
葛藤タイプは【FC】も【AC】も高い人。
罰回避タイプは【FC】が低く【AC】が高い人。
賞追及タイプは【FC】が高く【AC】が低い人。
というふうになりますよね。
さあ、ここからが問題です。
ここで受講生の皆さんには「応用行動分析」を思い出してもらいました。
(大事なのは、いろいろな理論を単にバラバラに覚えるのではなく、自在に組み合わせ、繋げて使うことです)
下図は応用行動分析の大原則です。
後続刺激としての「賞」は行動を強化(増加)し、「罰」は行動を弱化(減少)させます。
では例えば賞追及タイプに効果のある後続刺激はなんでしょう?
罰は気にせず、賞には強く反応するから、賞を与えるやり方の方が効果的ですよね。
逆に罰反応系タイプは賞にはそんなに引き付けられず、罰には強く反応するから罰を与える方が効果的となります。
さて、親が子どもに言うことを聞かせよう(制御しよう)とする時、こういうことを無意識のうちに学習していたとしたら…?
【AC】優勢タイプの子は罰でコントロールされやすいという構造が出来上がってしまうんですね。
これがアダルトチルドレンの問題とも言えるんです。
じゃあ、そうされちゃった人はどうしたらいいのか。
そうです。それが一番大事です。
それは、午後の部でお話した「解決志向アプローチ」と「認知行動療法」の組み合わせで上手くいくんです。
ということで、この内容は第2日曜、第3日曜、そして第3土曜にも行います。
よろしければぜひご参加ください。
では…。
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詳しくはホームページをご覧ください。
2024年10月のWEBカウンセラー養成講座の内容
10月12日のWEBカウンセラー養成講座は、依存症についてお話しました。
まず依存症になりやすいタイプとしては、下記の項目が当てはまる人となります。
・視野が狭い
・こだわり傾向
・偏ったプライド(無意識の自己愛)
・ストレスの処理がヘタ
・回避傾向(問題に対して逃げる、先送りする)
・見捨てられ不安が強い
・人間関係が苦手
また、依存症になる人は回避性パーソナリティタイプが多いですが、その特徴は下記となります。
・批判、非難への過剰反応や怖れ
・劣っている点は、必死に隠す
・人間関係に深入りできず表面的な付き合いしかできない(親密性回避)
・干渉されたくない
・自己開示できない(本音を言えない)
・失敗や恥を恐れてチャレンジできない
・高い自己イメージへの空想と、無意識に潜む低い自己評価 ・コンプレックスと、その反動のプライド(いいカッコしぃ)
ところで回避性性格の場合、或る意味当然なのですが、現実社会の困難な場面や嫌なことに向き合えず、バーチャル(仮想)の世界へと行きやすいんですね。
従って、ネット依存やゲーム依存になるリスクは高いということになります。
またこれは不登校の問題と類似していて
・何か問題が起きた時に、すぐにリアルの世界からネットやバーチャルの世界に逃げ込んでしまう癖が付いてしまう。
↓
・どんどんと現実社会に対しての耐性が落ちていって、益々現実対応ができなくなってしまうという悪循環に陥ってしまう。
となりがちです。
さて、これは文科省の調査で明らかになったことですが、中高生のネット依存になりそうな子どもは2012年に52万人だったのが、2019年には160万人と激増しています。
2019年の中学生は321万8115人、高校生は300万8172人ですので約4人に1人がネット依存症の予備軍ということですね。
しかも2019年あたりから、小中学校では生徒にタブレットを配給し始めていますので、現在はおそらくもっと増えていると考えられます。
そして長時間のゲームは、前頭前野等に悪影響を与えるという説が今では定着していますので、いろいろな深刻な問題もこれから激増していくことが予想されます。
では、どうしたらよいか。
ここでよく言われているのは「親と共有の管理アプリを入れて管理しよう」ということなのですが、これは、言い方を変えると子どもがスマホで何をやっているかが筒抜けになるということなので、その為には親子間のコミュニケーションが良好である必要があるんですね。
しかし、実は親子間のコミュニケーションが良好である家庭では、子どもが依存症になる確率というのはかなり低いんです。
つまり、依存症を心配しなければならないケースの場合、共有アプリを入れるのはそもそも無理があるのです。
さて、キンバリー・ヤング博士によると、「認知行動療法の12セッション目までには殆どの患者が自分の症状をコントロールすることができた」となっていますが、その頃よりはゲームも一人でやるものからSNSを使ったもっと離脱しにくいものに変化していますから、カウンセリングももう少し複雑となります。
もう少し詳しく言うと、認知療法に応用行動分析を加え、そしてシステムズ・アプローチ(特に解決志向アプローチ)を組み合わせたやり方が、我々のカウンセリングではかなり効果を上げることがわかっています。
今回のWEB講座では、そのやり方について手短にですが具体的にお話しました。
2024年10月のカウンセラー養成集中講座の内容
10月5日のカウンセラー養成集中講座は、認知療法についてお話しました。
さて、この講座では認知療法なら認知療法だけ、行動分析なら行動分析だけ、みたいなレクチャーではなく、いろいろな理論を組み合わせてわかりやすく解説することにしています。
そこでここではその中の一例を挙げてみますね。
認知療法のやり方を書いた本には、どれも「自動思考にチェックを入れる」と有ります。
そして、その自動思考の底にはスキーマ(認知の枠組み)があると書かれてあると思います。
それをもう少し詳しく図にあらわすと下記(図1)のようになります(これは2年くらい前にもブログに書いた気がしますが)。
スキーマはしっかり根っこを張っているコア・ビリーフがあり、そこから派生した媒介信念というのが自動思考との中間にあるのですが、それをもう少し詳しく書くと下記(図2)となります。
こう書くと、うわっ、なんのこっちゃ… となりがちなので、これを交流分析の自我状態で表してみましようか。
まず、幼少期に親から厳しく叱咤されたり、ディスカウントを受けた子がいたとしましょう。
するとその場合、「自分は無力だから見捨てられたらもう終わりだ」という基底信念(コア・ビリーフ)が埋め込まれます。(図3)
そしてそのインストールされたコア・ビリーフは、「言うことを聞かないと見捨てられるだろう」という先入見的見解となり、「人の言うことに黙って従うべきである」というルール(先入見的ルール)へと繋がっていき、「人の言うことに黙って従う」という現実的行動となっていくわけです。(図4)
そしてその「人の言うことに黙って従う」という現実的行動は良い子として褒められ、強化されて習慣となってしまいます。(図5)
ということで、認知療法と交流分析を組み合わせたわけですが、このようにいろいろな理論を布のように経糸、横糸と組み合わせつなげながら理解していくと、いろいろな理論は足し算ではなく掛け算で理解が広がっていくんですね。
2024年9月のカウンセラー養成集中講座の内容
9月7日のカウンセラー養成集中講座は、まず午前の部ではライフサイクル(エリクソン)についてお話しました。
乳児期 信頼 vs. 不信
幼児前期 自立性 vs 恥、疑惑
幼児後期 自主性 vs 罪悪感
学童期 勤勉性 vs 劣等感
青年期 同一性 vs 同一性拡散
成人前期 親密性 vs 孤立
成人期 生殖性 vs 停滞性
老年期 統合性 vs 絶望
(〇〇 vs ●● というのは、うまくいけば〇〇、うまくいかなかった場合が●●ということです)
まず最初の乳児期(0歳~1歳半か2歳くらい)においては、≪基本的信頼vs不信≫という構図をエリクソンは考えました。
乳児は不快なことがあったり、不安になったりすると泣きますが、その時に母親の愛情を感じられれば不安や不快は【安心】に変わります。
これをウィニコットは「二人いるから一人になれる」と言っています。
母親という『港』が有ればこそ、子どもという『船』は外洋へ航海に行けるわけですね。
そして、そうやって愛情を感じるごとに、【人(母)を信頼できる力】とともに『自分を愛してくれる人がいる』という【自分の存在を肯定できる力】が育っていきます。
これが基本的信頼感(basic trust)と呼ばれているものですね。
つまり「人を信じることができる力」です。
ところが、幼児期に親からかまってもらえなかったり(ネグレクト)、厳しい罰ばかり受けていると、基底不安というものが心に巣くっていきます。
「ひどい目に合わせる世の中に、誰の助けも得られない無力で見捨てられた自分がいる」という思いですね。
そして、それから逃がれる為に
・退行(幼児化して愛される)
・過剰適応(従順)
・無力(同情を得る)
・勝つ・優れる・強くなる
・ひきこもる
などを試みたりします。
アダルト・チルドレンのカウンセリングでは、このあたりの話になることも少なくありません。
幼児期を過ぎ学童期(小学生)に進むと、親子という『縦の関係』から学校での『横(友達など)の関係』に移行していき、10歳くらいからはギャング・エイジと呼ばれる『群れて行動する』時期に入っていきます。
ここは社会的コミュニケーションの力を身に着けることができる、とても大事な時期ですね(でも今の子どもは、この時期に塾やゲームなどで、この能力が身につかないまま大きくなってしまうリスクが高くなったりしていますが)。
そして青年期は、アイデンテイティ確立の時期となります。 アイデンティティ(自我同一性)とは、自分の存在の証明であり、今迄の人生において、こなしてきた課題や危機、また経験などによって創られます。 また逆に、自らを見失ってしまうケース(役割混乱)もあります。
この時期に関しては、「モラトリアム」「ピーターパン・シンドローム」「青い鳥症候群」「ウェンディ・シンドローム」などについても、お話をさせていただきました。
なお午後の部では、家族療法の構造的アプローチについてレクチャーとワークをしました。
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2024年8月のカウンセラー養成集中講座の内容
8月3日のカウンセラー養成集中講座は、アサーションについてお話しました。自分の気持ちや、言いたいことを言えないと悩んでおられる方は結構多いのですが、世間でよくあるのが「なぜ、言えないのだろうか」という原因探しや因果関係の究明に進んでしまうパターンです。
そしてアダルト・チルドレンだからとか、親子関係の話になると、これはもう、かなり長くかかるカウンセリングとなってしまいます。
そういう場合、考えなければいけないのは、確かに親の問題でとても辛い思い出がいっぱいあるにしても、「例えばここで親を100回非難すれば、自分は自己表現が上手くできるようになるか」ということなんですね。
例を挙げて考えてみましょう。
ここに、自分には非が無いにも拘わらず、何か言われると何も言えずすぐ謝ってしまうというAさんという人がいたとします。
この場合、「Aさんが子どもの頃、親が子ども(Aさん)の話も聞かず、そしてとにかく子どもが謝らないと怒りが収まらなくって、Aさんはいつもただ謝るしかなかった」という環境があったかもしれません(この場合、お母さんは実は『良い・悪い』ではなく、Aさんを『謝らせたくて怒っていた』ということになります)。
もちろんこれは、とても気の毒な話ですし、Aさんが親を恨むのも無理はありません。
ただ、これを行動分析で考えるとこうなります。
------------
Aさんが今、自己表現ができない(ノン・アサーティブ)という問題は、【自分に非があるかどうかに拘わらず、とにかく『何も言わず謝る』という行動を取らないと先に進まない】ということを『学習』してしまい、それが『習慣』となってしまったということである。
------------
だとすると、まずこの【自分に非があるかどうかに拘わらず、とにかく『何も言わず謝る』という行動を取らないと先に進まないのだ】というのは、合理的な考え方だろうか?(認知の歪みではないか?)というツッコミが要ります(ここは認知療法ですね)。
そして、
カウンセラー「当時は確かにそうせざるを得なかったのだろうけど、今から未来においては『何も言わずに謝る』という行動より、『上手に自己表現できる』ようになった方がいいよね」
↓
Aさん「もちろん、そうなりたいです」
という流れで【目標】が設定され、あとはスモールステップでアサーションを実践していくということですね(ここはカウンセラーは応用行動分析の立場となります)。
午後の部もアサーション・トレーニングの考え方ややり方について、『自分に気付く』というワークも交えながらレクチャーし、いろいろと考えていただきました。
なお、発達障碍やグレーゾーンの子ども(大人もですが)の場合、やはり上手に自己表現できず、アグレッシブ(攻撃的)・タイプとなっている場合があります。
そういうケースでは、一般に行われているアサーション・トレーニングだけでは上手くいかない場合も多いので、僕がカウンセリングにおいての経験で、いろいろと工夫して上手くいったやり方もお話しました。
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2024年7月のカウンセラー養成集中講座の内容
7月6日のカウンセラー養成集中講座は、午前中は応用行動分析についてのレクチャーやワーク、そして午後も「見立て」に役立つツールを使ってのワークと、システムズ・アプローチについてお話しました。
応用行動分析(ABA)は子育てにとって凄く大事な理論です。
また、発達障碍の対応がどんどん進化しているのも、この理論あってこそです。
そしてネット・スマホ・ゲーム依存もこのABAと、システムズ・アプローチや解決志向アプローチとの組み合わせによって、カウンセリングが上手くいく率はかなり高くなります(親御さんがこの考え方ややり方に納得されて、そしてカウンセリングに来られるのを続けた場合はほぼ上手くいくと言ってもいいでしょう)。
しかし、意外とこれがまだまだ世に知られていないんですよね。
これはひょっとしたら、難しい用語が多い(三項随伴性とかオペラント条件付けとか)のと、もう一つはおもしろく書いてある本が少ないからかもしれません。
ということで、先日僕は掛川の花鳥園に行って、鳥のショーを見た時に思ったことがあったので、その説明も少し工夫してお話しました。
まず、イルカとか動物のショーというのは、このABAによって動物が活躍できるようにしています。
ABAというのは、
先行刺激(弁別刺激)⇒ 行動 ⇒ 後続刺激
という流れで物事を考えます。
これを簡単に言うと、
「ある環境で」⇒「こんなことをしたら」⇒「こんな結果があった」
ということです。
例えばイルカにとって
「笛が鳴ったという環境で」⇒「ジャンプをしたら」⇒「餌をもらえた」
となるわけですね。
掛川花鳥園でも鳥をそうやって訓練したはずです。
ところが僕が言った時は、ショーに出てきたフクロウが、芸をやる場面でなんと床に落ちていた肉片を見つけちゃったんですね。
飼育員の用意した餌よりもっと大きな肉片を…。
こうなると、もうフクロウは飼育員の指示に耳を貸しません。
飼育員は何度も餌を見せてチャレンジするけど、フクロウは逃げ回るばかり。
ショーを見に来た客は、ずっと待たされるワケですね。
フクロウを主とすると
「飼育員の用意している餌よりもっと美味しそうなものを見つけた」⇒「それを掴んで飼育員から逃げ回る」⇒「飼育員に何度も用意した餌を見せられる」
この場合は、「飼育員の用意した餌」という後続刺激より「今掴んでいる肉片」の方が魅力的なので、後続刺激は何の役にも立っていないということです。
「こんなことになる可能性って当然あるワケだから、そんな時はとりあえず次の鳥の出番に変更できるようにしておいたらどうなんだ?」
とイラッとして思ったのは僕だけかな?
とにかく散々待たされた挙句、そのフクロウの持ち時間は使い切ったみたいで、何もやらずにステージからフクロウは退出でした。
さてちょっとここで、行動分析に対してよくある反論です。
「動物と人間を一緒にするなよ」
では今の話を、フクロウではなく客を主として考えてみましょうか。
「ショーが始まりワクワクする」⇒「フクロウが飼育員の指示に従わず逃げ回るのを延々と見せられ、それでフクロウの持ち時間が終わり待たされただけでイライラする」⇒「もうここのショーには見にいかなくなる」
次に、飼育員を主として考えましょうか。
「ショーが始まる」⇒「フクロウが指示に従わず逃げ回り失敗し、客をイライラさせる」⇒「客はもうここのショーには見に来なくなる」
この「客は来なくなる」というのを弱化刺激と言います(簡単に言うと「叱られる」とか「罰」がそうですね)。
そして本来なら、それによって「客をイライラさせる」という行動が減るはずなんです。
反省して、次の鳥の出番に変更できるようにするとか、工夫する(行動の変容)はずなんですね。
ところがここでABAの理論が出てきます。
「即時強化・即時弱化」の法則です。
つまり、後続刺激はすぐに行わないと、効き目がなくなるんです。
「もう次は行かない」という客の後続刺激は、時間が空いてしまうし、具体的に飼育員に伝わりにくいから効果があまりないんですね。
じゃあ、すぐに罰を与えたらどうか。
例えば、待たされたらすぐに空き缶を投げるとかいう嫌悪刺激を、後続刺激で与えたとしたら、これは飼育員も気づくはずです。
ところが、今度は客を主として考えましょうか。
「待たされる」という環境で、「空き缶を投げる」という行動を取ると、大抵は「周囲から大顰蹙(ひんしゅく)」という後続刺激がやってきます。ひょっとしたら警察が飛んでくるという、かなり強烈な嫌悪刺激が来るかもしれません。 我々はそういうのを学習しているから、それをやらないんですね。
如何ですか?
もちろん動物と人間では違うケースだっていくらでもあると思いますが、人間だって生き物なので当てはまるケースもいくらでもあります。
要はいろいろな理論を上手く生かして、対象となる人がHAPPYに近づいていけばいいのではないのでしょうか。
少しは面白く説明できたかな?
ところで、ABAの本は1つの対象においての三項随伴性のことばかり書いてある本が多いのですが、やはりシステムズ・アプローチが重視する「Interaction」、つまり「相互交流」という観点でこのように主役を固定せず、柔軟に多角的に考えるということが大事だと思います。
ということでこんな感じで、しっかりと(たぶんここに書いた量の50倍くらい)を午前中にお話しました。
この内容は第2日曜と第3日曜、そして第3土曜にも行います。
よろしければぜひご参加ください。
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2024年6月のカウンセラー養成集中講座の内容
6月1日のカウンセラー養成集中講座は、午前中は久しぶりに交流分析についてのレクチャーをし、その後に交流分析を使ったカウンセリングのデモ(ロールプレイング)を見て、皆さんでいろいろと話し合っていただきました。
やはり実際にロールプレイを見てみると、交流分析と傾聴だけでクライアントの満足を得るのはかなり難しいということがよくわかります。
なぜそうなったか(過去)ということはよく理解できるのですが、どうすればよいのか(未来)というところが具体的ではなく弱いんですね。
しっかりと聴いていればよくなるというのは、ロジャーズや河合隼雄先生がカウンセリングをされた時の話で、我々一般的な人間では軽いレベルの悩みならともかく、わざわざお金を払って相談に来られるレベルの悩みにおいては、「うん、うん」と頷いていればよくなるとは考えにくいのが現実です。
そして午後もキャリアカウンセリングのデモ版を見て、皆さんに考えていただきました。
こちらは傾聴もあまり出来ていない動画の為、全然参考にはならなかったのですが、逆に傾聴のカウンセリングをするにあたって陥りやすいパターンがよく理解できたのではないかと思います。
「オウム返し」というのがどの本にも書いてありますが、何のために傾聴するかというと、相手の心情だけではなくフレーム(認知の枠組み)もしっかりと理解する為なんですよね。
だから、その目的意識を持って全力で理解しようと聴かなければいけないし、また「無知の構え(Not kowing)」で聴かなければ歪んで理解してしまうリスクが生じます。
それなのに、頭の中で「オウム返し」をしなければという意識が大きく占めていたら、もうこれは本末転倒です。
また相手を理解する為には、かなりの質問が必要ですし、どういうふうに質問すればいいかを知っていなけれぎいけません(これらのやり方が優れているのが、先月に行った解決志向アプローチです)。
なお、これら2つのロールプレイに出てきた悩みに対して、僕ならどのようにカウンセリングをしていくかも、もちろん図を用いながら詳しく説明しました。
この内容は第2日曜と第3日曜、そして第3土曜にも行います。
よろしければぜひご参加ください。
【Copyright(c)(同)ベルコスモ・カウンセリング】
2024年5月のカウンセラー養成集中講座の内容
5月のカウンセラー養成集中講座は、午前中はシステムズ・アプローチ及び解決志向アプローチの「目標設定」について、そして午後は傾聴のキャリアカウンセリングのロールプレイをビデオで見ながら、それを解決志向アプローチならどのように展開していくのかを詳しくお話しました。問題が起きた時、よく人は「どうしてそうなったのか」、「その原因は何だろうか」と考えることが多いんですね。
例えば子どもが不登校になった時、「育て方がいけなかったのか」とか、「幼児期にアタッチメントが少なかったのではないか」と考えるのがその典型的な例です。
このことについては3月の講義でも詳しくお話したのですが、例えば料理が上手くできないと悩んでいる人に、「親子関係が良くなかったから、お母さんから料理を教えてもらえなかった為ではないか」とか、「一人っ子だから甘やかされて育ったのが原因ではないか」と原因探しをして、思い当たる節があったら問題は解決するのでしょうか。
実際それが原因だったとしても、お母さんに「なんで甘やかして育てたの!」と責めたら、料理が上手になるのでしょうか。
違いますよね。原因がわかったからといって、問題が解決するとは限りません。
また、自分は料理が上手くできないダメな人間だと、自分を嫌いになることで美味しい料理を作れるようになるのでしょうか。
これも違いますよね。「人」を問題にしたら、却って解決は遠のくことが多いのです。
「問題」は「料理が上手にできないこと」であって、今考えなければいけないのは、「どうなったらよいのか」なのです。
だとすると、カウンセラーは「解決した状態」をクライアントがイメージできるように流れを作り、目標設定のお手伝いをして、クライアントのHAPPY(ここは、間違っても「カウンセラーが考えるところのクライアントのHAPPY」を押し付けてはいけません)に向かう為の方法(スキル)を身に着けていなければいけません。
このやり方は、過去の原因追及をする精神分析的カウンセリングや交流分析を用いたカウンセリングや傾聴中心の来談者(人間)中心療法をメインに学ばれた人は結構驚かれたりしますが、なかなか良いものですよ、システムズ・アプローチ及び解決志向アプローチは…。
またちょくちょくこのやり方はご紹介していきたいと思います。
よろしければぜひご参加ください。
2024年4月のカウンセラー養成集中講座の内容
4月6日のカウンセラー養成集中講座は、アダルト・チルドレン及び愛着障害についてワークを交えながら詳しくお話しました。世間では、このアダルト・チルドレンと愛着障害は結構ゴチャマゼになって語られているような気がします。
また、愛着障害やパーソナリティ障害、特に自己愛パーソナリティ(人格)障害と発達障碍も取り違えて見られたり決めつけられたりしていることも少なくありません。
ちなみに愛着障害については、下記の項目にどれだけ当てはまるかである程度の目安はつくと考えられます。もちろんその程度がどれくらいかが重要なのですが。
愛着障害簡易テスト
(Copyright(c)(同)ベルコスモ・カウンセリング)
かなり当てはまる 3点 まあまあ当てはまる 2点
あまり当てはまらない 1点 当てはまらない 0点
1.自信が無い
2.見捨てられ不安が強い
3.自分は自分、人は人と割り切るのが苦手
4.察してくれることを切望する
5.低い自己評価
6.情緒不安定
7.感情のコントロールが上手くいかない
8.人にどう思われるかがとても気になる
9.ゆとりがない時が多い
10.子どもっぽいところがある
11.親しい人に過度な要求をしたり、要求がエスカレートしたりする
12.親しい人に対しては切れやすい
13.批判、否認、または拒絶に対する不安が大きい
14.好かれていると確認できないと、人との関係に深入りしない
15.人から褒められても素直に喜べない
なお、愛着に問題(虐待、ネグレクト)があると発達にかなりの悪影響があり、愛着障害(6カ月~1歳半頃が悪影響のピーク)は、脳の報酬系回路と言われる脳の線条体の働きを悪くすることがいろいろな研究でわかっており、福井大学子どものこころの発達研究センター 友田 明美教授は下記の結果を研究発表されています。
・暴言を受け続けると聴覚野の一部の容積が増加し、知能や理解力の発達にも悪影響が生じる。
・厳格な体罰(頬への平手打ちやベルト,杖などで尻をたたくなどの行為)を長期かつ継続的に受けた人たちの脳では,前頭前野の一部である右前頭前野内側部(感情や思考をコントロールし,犯罪抑制力に関わっている所)の容積が平均19.1%も小さくなっていた。
・集中力・意思決定・共感などに関わる右前帯状回も16.9%の容積減少がみられた。
物事を認知する働きをもつ左前頭前野背外側部も14.5%減少していた。
ところでアダルト・チルドレンのカウンセリングでは傾聴や共感はもちろん大事ですが、それだけに頼ると過去をぐるぐると循環するパターンとなってしまうことも少なくありません。
やはり先月のレクチャーでお話したシステムズ・アプローチや認知療法を組み込んでいった方が、早く明るい方向に切り替えて段々とクライアントはHAPPYに進んでいくと、今までのカウンセリングを振り返ると強く感じています。
2024年3月のカウンセラー養成集中講座の内容
3月2日のカウンセラー養成集中講座は、不登校やネット・スマホ・ゲーム依存、またアダルト・チルドレンにとても効果のあるシステムズ・アプローチについてワークを交えながら詳しくお話しました。
このやり方の重要な注意点は「原因追及(問題探し)に囚われない」ことと、「過去に縛られない」ことです。
下図1をご覧ください。
夫婦の不仲についてのカウンセリングの例です。
妻がカウンセリングに来て
「夫が毎日お酒を飲んでばかりいるから、腹が立ってついつい攻撃的になってしまう」
と訴えたとします。
ところが、次回夫婦で来ていただき、夫に話を伺うと、
「妻がヒステリックだから、こっちもイライラして、ついお酒を飲んじゃう」
と言うのです。
つまり、この問題はお互い「相手のやることが原因」だと言っているわけですね。
でも図を見ればわかるように、実はこの話は【原因⇒結果】というよりも、【循環】しちゃっているんですよね。
次の図です。
ゲームばかりしている子どもに親が怒ります。
すると子どもは親の顔を見るのが嫌で、部屋にこもってゲームをします。
それを見て親は、厳しさが足りなかったと思い、もっときつく怒ります。
3つ目。
クライアントが「自分はアダルト・チルドレンだ」と言って、過去の辛かったことをカウンセラーに話します。
カウンセラーはそれに共感して、その話を掘り下げます。
するとクライアントは、今まであまり思い出さなかったことまで頭に蘇ってきて、もっといろいろな辛い話をもっと悲しくなりながら話し続けます。
因果関係をたどると、最初の夫婦の話は「相手が悪者」となり、次は「子どもが意志が弱い子」となり、3番目は「親が毒親」となりますし、また厄介なことにどの話も「クライアントがHAPPYになるにはどうすればよいのか」という一番大事なことが語られていません。
・「人」が問題ではなく「問題」が問題である
・「なぜ」そうなったのかを考えるよりも、今はまず「どうなれば」よいのか
ここなんですよね。